「妊娠中はひじきを食べましょう!」は一昔前の考えだそうです。
鉄鍋で煮たひじきで栄養素を調べたため、鉄分が多く含まれるとされていましたが、近年ではひじきの栄養素に変化がおきました。
また「妊娠中はひじきを食べ過ぎない方がいい」とも聞いたことがあります。
この記事では妊娠中の方が安心できるようにひじきについてまとめてみました。
■妊娠中はひじきを食べてはいけないの?
妊娠中はひじきを食べてはいけないと聞いたことがあるかと思います。その理由はひじきには微量な「ヒ素」が含まれているからだそうです。
ヒ素による中毒は一度に大量に摂ることで起こる急性中毒と、長年にわたり摂取することで起こる慢性中毒があります。
急性中毒の主な症状は、悪心、嘔吐、下痢、腹痛などで、全身の痙攣などがあります。慢性中毒の主な症状は、嘔吐、食欲減退や皮膚の発疹や炎症です。
こう聞くと「そんな恐ろしいヒ素が入っているひじきなんて食べられない。」
と思われるでしょう。
英国では2004年に「ひじきはヒ素を含むので食べないように」という勧告がでています。
しかし、私達日本人はずっと昔からひじきを食べていますが、今までにひじきによる健康被害が問題になったことはありません。
■ひじきはどれくらい食べたらいけないの?日本人に問題が起きない要因は?
体重50Kgの成人が4.7g以上の乾燥ひじきを毎日継続的に摂取した場合に、
健康を害するリスクが高まるとされています。
この乾燥ひじき4.7gというのは、1時間水で戻した状態なら約42gです。
この量を毎日食べる人はまずいないでしょう。
ちなみに日本人が1日に食べるひじきの平均量は0.6gだそうです。
妊婦はより健康には敏感になっていますが、妊婦に対する摂取制限量というのは特に決まっていないようです。
毎日4.7g以上のひじきを食べなければまず問題ないでしょう。
また、今までにひじきを食べてお腹の赤ちゃんに健康被害があったという報告はないようですので安心してください。
■ひじきの栄養について
ひじき100gに入っている栄養素は、
ミネラルが、
ナトリウム・・・1400mg
カリウム・・・4400mg
カルシウム・・・1400mg
マグネシウム・・・620mg
リン・・・100mg
鉄・・・55mg
ビタミンが、
ベーターカロテン・・・3300μg
B1・・・0.36μg
B2・・・1.1μg
その他、食物繊維が43.3g含まれています。
カルシウムが牛乳の約12倍、
食物繊維がごぼうの約7倍、
マグネシウムがアーモンドの約2倍と
ひじきは栄養の宝庫なんです。
私達妊婦にとっては是非摂りたい食材ですね。
■食べる際によりヒ素を減らすには……
日本人が日常食べる量なら問題ないヒ素量とはいえ、妊娠中はやはり微量でも気になりますね。
ヒ素は水に溶けやすい性質を持つので、それを利用して調理して食べましょう。
ひじきを1時間水に漬けておくと、68%ほどのヒ素が流れ出るそうです。30分水に漬けた場合は38%ほどのヒ素が流れ出ます。ただ水に漬けておくだけなので簡単ですね。
また、水に戻したひじきをボールに入れ水で2~3回洗ってから、5分ほど茹でるとさらにヒ素の含有量が流れ出て15%ほどになるそうです。
もちろん水に漬けておいた水や、茹でたお湯にはヒ素が流れ出ていますので料理には使わずにそのまま捨ててくださいね。
こうやって調理したひじきなら、もうヒ素のことは気にしなくても大丈夫そうです。栄養満点の食材なので週に3回ほどは摂取していきたいです。
ちなみにヒ素はひじきだけでなく海藻類に含まれています。
ひじき・・・77mg/Kg
あらめ・・・0.3mg/Kg
わかめ・・・0.3mg/Kg
のり・・・0.3mg/Kg
ひじきに比べたら微量ですが、気になるようなら水洗いするとよいかもしれませんね。
■より効果的にひじきを摂取するには……
ひじきにはカルシウムが豊富に含まれています。
そのカルシウムはビタミンDと一緒に摂取すると効率よく摂取できます。
ビタミンDはしらす干し等の魚や、干ししいたけなどの豊富に含まれています。
脂溶性のビタミンですので、油を使って調理するとよいでしょう。
また、ひじきには鉄分も豊富に含まれています。
鉄分はタンパク質やビタミンCと一緒に摂取すると吸収を助けてくれます。
タンパク質は鶏ささみ、豆類、乳製品などに多く含まれています。
タンパク質は過剰に摂取することを避けたい食材が多いので、いろいろな食材からバランスよく摂ることが大切です。
ビタミンCはブロッコリー、ピーマン、キャベツに多く含まれています。
これらの食材をうまく組み合わせて調理して、
効率よくカルシウムや鉄分を摂取したいですね。
定番のひじきの煮物だけでなく、ひじきごはんやひじき入りハンバーグ等
いろいろ工夫してみるのも楽しいですね。